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スーパービンテージのリペア Strong Hold カバーオール!
福岡 上人橋通りの古着屋、アウラ・クロージング&アンティークスです。

新入荷の商品もひと通り出し終えて、昨日からリペアを再開しました。
アメリカ買付け中に多数のご依頼をいただき誠にありがとうございます! ずいぶんお待たせしておりましたが、もうしばらくで出来ると思いますので少々お待ちください。 現在お預かりするリペアはしあがりまで1か月弱ほど期間をいただいていますが、、なるべく早く混雑を解消してご迷惑がかからないようにしたいと思います!!

本日は買付け前にやらせていただいたこのJKTのリペアをご紹介します。。
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ただならぬ雰囲気のこちらのデニムワークカバーオール。。。
左胸のポケットの形からもかなり古い物だとひと目で判りますが。。。

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こちら、、ストロングホールドのものです。 
このような細かい柄が入ったとてもカッコ良いチェンジボタンが付いています。。

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そして消えてしまっていますがタグはこのタイプ・・・
たしか1920’sとか1910’sのものではなかったでしょうか?? 
すでに100年ほど経過しています!

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バックスタイルです。
こちらはご依頼主様がアメリカの某有名コレクターから直接購入したものらしく、現状でいがいとお安く購入できたという事で、、うらやましい限りです。。

オーナー様のご依頼はこのJKTを出来るだけ綺麗でしなやかにリペアしたいとの事、、これほどのアイテムを託していただけるとは本当に有りがたいことです。 全力でやらせていただきます!!

主なリペア箇所は、、
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背中の中央。。
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右のアームからポケットにかけての右脇の大きな裂け。。。
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フロントのボタンホール1か所。。。。
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左袖カフス付近。。。。。
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そして今回のリペアで1番難易度が高い左ヒジ付近のダメージです。
袖のダブルステッチを解いてリペアすれば比較的簡単にリペア出来るのですが、開いたステッチを元通りに戻すのがとても難しく、元の雰囲気を再現するのは不可能でどうしても浮いてしまいます。 袖のステッチを開かずにリペアするにはアームホールの狭い穴からミシンを入れて直さなければいけないので難易度がぐんと上がってしまうのです。 

余計なところを傷つけずにより自然に仕上げるためにはアームホールを利用してのリペアがベターと判断しました。 幸いな事に右のアームホールが少し裂けていて余分に広げることができるので、そのダメージを利用していちばん最初に右ヒジを直すことにしました。

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このJKTはデニムの色の濃淡があるのに加えて、オイル染みとサビによる茶色の染みがあるので4色の糸を用意し、、より繊細でしなやかに仕上がるように細番手の糸を選びました。
またジーンズと違って内側の当て布が見えることを想定して、、白では無く紺の接着芯地を選びました。 色は紺色ですが、しなやかな仕上がりになるようにいつものニット用の薄手の芯です。

それでは作業開始です。 まず難易度の高い右ヒジから。。。
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まずカフスを解いて、ヒジから袖口までダメージがちらばっているので裏面の広範囲に芯地を貼りました。

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袖を裏返したまま、アームホールのすき間から奥に見えるダメージ部分を縫っていきます。。
アームホールのダメージがあるので、通常よりも少しだけ広く作業できますが、、それでも直径5cmほどの範囲内をコツコツちまちまとずらしながら縫っていく状態ですので、ねじれること無くフラットに仕上げるために細心の注意をはらって叩いていきます。 また、5cmほどの視界しかないのでインディゴの縦ラインに沿って縫えているかもちょこちょこ確認しながら縫っていきます。

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右ヒジを叩きおえました。 この範囲だけでかるく2時間以上かかってしまいました。。。
ねじれや縮みもさほどなく、しなやかに直せたと思います。

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アップで見るとこんな感じです。 サビのシミがある部分なので茶色い糸でのリペアです。
薄くなっている部分は全て叩いて 充分な強さが出ています。

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つづいて左カフス付近のリペアです。 
いちどカフスを解いてから表側のみを直して、もと通りカフスを閉じます。

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リペアできました。 こちらも落ちそうにない汚れがある部分なので茶色の糸で叩きを入れて、白が汚れたような色目の糸でリステッチして直しました。

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次はフロントの第4チェンジボタンホールです。 ボタンが外れないようにしたのでしょう、、手縫いで簡単にリペアされています。

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裏側もこの通り。。貫通したダメージのようです。

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とりあえずリペアの糸を外してみました。。。 やはり貫通した大きな穴です。

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見返しのステッチを少しだけ解いて、表地と見返しの双方ともホールのあった所だけ残して当て布をしました。 この穴を残してそれぞれ叩き縫いします。

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それぞれ縫い終えました。 

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重ね合わせて、、ずれること無くホールを残せています。
確認できたので見返しをもと通り閉じて、、、

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手縫いで菊穴タイプのボタンホールを造りました。
これでボタンホールは完了です。

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続いて背中心のダメージです。 ここはけっこう目立ってしまう所ですね。。

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より自然に仕上がるように右と左を別々に直してから閉じようと思います。
まず最小限の部分を解いて当て布を、、

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それぞれ縫い終わりました。

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そして汚れた白の糸で塞いで完成です。

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お次は右胸の小さなキズ、、、これは簡単です!

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茶色の糸でサクッと叩きました。

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そして最後に残ったのは右脇の大きなダメージです。 
自分の服がこういう風になってしまったのを見ると "もうダメだ~" と思う方もいるかもしれませんが、、そうでもありません。 確かに大きいダメージで派手に破れてはいますが、単純に2つのダメージと1つのホツレからなるダメージなのです。

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1つ目のダメージは、先ほど右ヒジを直すときに重宝した袖の付根の小さな裂けキズ。。
もう用済みなのでキレイにふさぎましょう。。

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2つ目のダメージは右脇を縦に走る大きな裂けキズです。
この2つはダメージなので叩き縫いで直します。

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2つのダメージに芯地を貼りました。

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表から見たところです。 2つのダメージを整えるとあれほど激しく見えたダメージもずいぶんスッキリと感じると思います。 ここを直せば、、あとはアームホールのステッチのホツレだけになります!

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叩きました。 
必要最小限の範囲と、長い縦の裂けで縫い縮みが出ないように心がけて慎重に縫いました。 ずいぶん色目が違って見えますが、この部分はオイルがたっぷりと染み込んでいて色目が黒っぽくなっています、、リペアした後に洗濯しオイル抜きをするとの事でしたので他の部分に習ってオイルが抜けた色目を予想して叩きの糸を選びました。 オイル抜きをした後には目立たない色目になっている予定です。 その後どうなったか是非見せていただきたいものです!

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最後に残ったのはアームホールのステッチ切れです。

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ひとつ気になるところがありました、、この部分の縫い代がホツレて足りなくなっています。

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せっかく直してもこの部分がモジャモジャふさふさと出てきてしまうと決まらないので。。
叩きで軽く生地を延長してやってふさごうと思います。

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ふさぎました。 アタリまで元どうりに・・・とまでは物理的にいきませんが、、、ずれること無く格好良く直せたと思います。

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内側から見たところです。 シングルステッチの部分が直した箇所です。
かみ合わせのダブルステッチで、しかもアールしている所なので、、縫い代をはみ出さずに&落とさずに縫うのが難しいところですが、一発で上手くいきました!

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これで全ての部分のリペアが完了しました!
作業開始から2日間かかりましたが、心地よい達成感をGETできました! このようなお宝のリペア依頼にAURA Repairを選んでいただき本当に感謝いたします!!

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ブログ掲載も快諾していただきありがとうございます。
またリペアがありましたらぜひご相談いただければ幸いです。

今回のリペア料金は ¥20,000+tax です。

とんでもなく長くなりましたが、、、
ここまで読んでくださった方、、お付き合い誠にありがとうございました!
似たような症状の服。。ダメージがあって眠っているお宝やお気に入りがありましたら是非いちど相談してくださいね!!


お問い合わせは AURA Clothing & Antiques 092-716-1920
by auraclt | 2012-08-19 23:20 | リペア | Comments(1)
Commented at 2013-11-18 23:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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